HiraiToshiyukiのブログ

映画と読書

ラストマイル

 どんでん返しに次ぐどんでん返し。始めは少し入り込めませんでしたが、途中から俄然面白くなりました。満島ひかりさんの演技にすっかり騙されましたね。素晴らしい演技だったと思います。

 消費者の欲望を煽り立て、大量に受注し、大量にしかも迅速に発送し続ける。巨大企業のビジネスモデルを支えているのは現場の人たち。たとえ人が死んでも発送を止めない。爆弾が入っているかもしれないとしても何とかしても止めない方法を考える。誰が悪いわけでもないみんな必死で自分の責任を全うしようとしている。しかし必ずひずみは生じる。分かっていても誰も止められない。「昔はドライバーの仕事を誇りを持ってやっていたのに。遠いところへきちまったなぁ」阿部サダヲさん演じる運送会社の所長さんのセリフが刺さります。

 確かに仕事は増えた、会社は利益も出ている。しかし誰もが幸福になっていないように思える。会社にとっては売上を上げる絶好の機会、ブラックフライデーが社員にとっては怖い。乗り越えられるのアか?

 資本主義はしんどい、きつい。弱いもの下のものへしわ寄せがいくシステム。社員や下請けを削って利益を上げるシステム。この作品は随所で資本主義や大企業の問題を明らかにしていたと思います。どの業界も同じようなもの。このままいけばいつか破綻する。「売れるものならどんなものでも売る、それを支える欲望 恐れを知らぬ うぬぼれた人は 宇宙の力を悪魔に変えた」浜田省吾さんの曲の歌詞を思い出します。

 しかし満島ひかりさんの演技は素晴らしかったですね。