「関心領域」を観賞しました。
アウシュビッツ収容所のすぐ隣の豪華な住宅で暮らすナチス司令官の家族。一見幸せそうな家族、庭にはプールがあって子供や犬が遊んでいる。きれいな花もたくさん咲いている。しかし朝から晩までずーっと不気味な音が聞こえている。何かを焼くような音、銃声、悲鳴、怒鳴り声、何かの機械の音。そしてきれいな庭のすぐ隣には壁、有刺鉄線、そして炎や煙が見える。映画では表現されないが、きっと臭いもすごかったのではないか。
となりで何が行われているか、気づいている、知っている。しかしそれに気づかないふり、触れないように普通に日常生活を送っている。地獄の隣でリッチな生活を、被害者と加害者が隣り合わせで不気味な生活を送っている。
だんだんと感覚がマヒしてくる。隣から運ばれてくる収容者から奪ったであろう毛皮や衣服や口紅など。試着したり、みんなで分けたり。司令官の妻のお母さんが訪ねてきて、娘が豪華な暮らしをしていることに喜ぶが、周囲のあまりの異様さに耐えられず置手紙をして黙って帰ってしまう。
運よくこちら側でよかった、強い方についててよかった。いけないことは知っていてもおかしいと声を上げることは絶対にできない。学校のいじめも同じ構造。人間はいつまでたってもおかしなことを続けている。おまえもそうだ。その一人だとこの映画は問いかけてくる。
