HiraiToshiyukiのブログ

映画と読書

クワイエット・プレイス DAY1

 突如空から降ってきて暴れまくる大量の謎の生物たち。目は見えないが音に反応して襲い掛かるエイリアンです。人間たちは簡単に殺されてニューヨークの街はたちまちこの怪物たちに乗っ取られてしまいます。

 シリーズ3作目ということで、このあたりの説明は全くなく物語は進んでいきます。

 私が意外に思ったのは主人公の境遇です。余命宣告を受けた末期がんの患者で、ホスピスからバスで街に買い物に出かけるというイベントに参加してこの惨劇に遭遇します。怪物の脅威から逃れていかに生き残るか、というのがこの映画のテーマかと思いきやすでに死期が迫っている女性が主人公。末期がんの妻を緩和ケア病棟で亡くした私には何とも言えない展開にいたたまれなくなりました。

 ただのサイレントホラーではありませんでした。エイリアンから逃げて生き延びる、生き残るサバイバル映画でもありませんでした。残り少ない人生を自覚していた彼女が命を狙われるこの状況の中で、いかに最期の時間を生きるか、生きざま・死にざまの映画でした。自分の身を犠牲にして共に行動した男性と猫を無事安全地帯に送り届け、一人絶望地帯に残った彼女が歩くラストシーンは今まで観た映画のなかでも最も印象に残るラストシーンでした。

 B級ホラーの顔してますが、実は心に残る名作でした。